『糖質』とは?なぜ多量の摂取が体に良くないのか

『糖質制限』と呼ばれるものが一般的に知名度を得て、どんどん普及し始めています。

当サイト『PFcメソッド』を含めて多くの糖質制限推奨サイトが提唱するように、『糖質』の摂取量を減らす事が健康に繋がります。

しかしそもそも糖質とは何なのか、どうして多量の摂取が人体に悪影響を及ぼすのかについて詳しく知っている人は意外と少ないものです。

そこでまずは糖質が何者であるか、そして糖質を摂取した時に人体でどのような事が起こっているのかについて説明して行きたいと思います。

糖質=炭水化物-食物繊維

糖質とは何なのか、まずはこの点についてハッキリさせておきましょう。

糖質とは、炭水化物から食物繊維を差し引いた栄養素の事を言います。

炭水化物の分類
©Kirin Holdings Company, Limited.

一般的には『炭水化物』という表現の方が多く使われて来ましたが、最近は糖質制限の広がりとともに成分表記にしっかりと『糖質』の項目を付けてくれている食品も増えました。

炭水化物の一種である食物繊維は人の体内ではほとんど吸収できないので、消化されずに排出されます。

対して糖質は体の中で分解されて吸収されますので、その結果として血糖値の上昇、ひいては肥満へと繋がる大きな要因となってしまいます。

ただし糖質の中でも『糖アルコール』と呼ばれるものの中には、ほとんどが体に吸収されない性質を持っているもの(エリスリトール)もあり、血糖値の上がらない甘味料として活用されています。

糖質は体内で分解されるものに関しては最終的に『ブドウ糖』と『果糖』に分解されて吸収される事になります。

このブドウ糖と果糖はどちらも肥満の原因となるものです。

『PFcメソッド』で推奨している糖質制限食とは、炭水化物の中から食物繊維や糖アルコールの一部などの血糖値を上昇させないものを除いた糖質を制限する食生活の事です。

つまりは食物繊維や糖アルコールの一部のように血糖値を上昇させないものに関しては別段制限の対象とはしておりませんし、食物繊維に関しては積極的に摂取するべきものとして推奨しています。

なぜ糖質の多量摂取は体に悪いのか

糖質の正体がわかった所で、では「なぜ糖質を沢山摂取してしまうと体に良くないのか」という点について触れて行きます。

糖質は体内に取り込まれると分解されてブドウ糖や果糖として吸収される事になります。

そうすると血糖値が上昇するのですが、これが人体にとっては大きな負担となります。

血糖値の高い状態は血管がダメージを負いやすく様々な負の影響を体に与える状態なので、体内ではインスリンと呼ばれる物質が膵臓から分泌されて血糖値を安全水準まで下げる働きをしてくれています。

しかしこういった事を現代人は生まれてこの方何十年という月日を毎日毎食のように繰り返している訳ですから、次第にその機能を果たしている膵臓のβ細胞が疲弊して行きます。

そうすると血糖値を正常レベルまで下げる働きをしてくれているインスリンを正常に分泌できなくなり、思ったように血糖値をコントロールできなくなってしまうのです。

あるいはインスリンの分泌は正常に行われているものの、インスリンによる血糖値低下作用が正常に効かない状態になる事もあります。

こういった理由で血糖値を正常にコントロール出来なくなった状態が、生活習慣病の代表格であり様々な合併症を引き起こす事でも知られる『糖尿病』と呼ばれているものです(正確には2型糖尿病がこれに該当する)。

糖尿病には『1型糖尿病』と『2型糖尿病』という二つの病態が存在します。
どちらも共にインスリンによる血糖値コントロール不全という意味では共通しているので『糖尿病』として一まとめに扱われていますが、その原因は大きく異なります。
1型は自己免疫性疾患(体内の免疫機能が誤作動を起こして正常な細胞や組織まで攻撃してしまう事による疾患)とされ、幅広い年齢で突発的あるいは先天的に発症するものです。
2型は生活習慣病の一種であり、主に中高年以上の年代において糖質の過剰摂取が慢性化する事で発症するものです(若年で発症するケースもある)。

さらに言えば、インスリンというものが多量に分泌されている事自体が人体にとっては大きな負担となる事であり、仮に膵臓のβ細胞が元気でインスリンを多量に分泌し続ける事ができたとしても、それはそれで老化現象を加速させる事となってしまうので、どちらにしても良い事ではありません。

糖質を摂取した時に人の体内で行われている処理から逆算すると、現代人はあまりにも多くの糖質を摂取しすぎであるという結論に達します。

本来は微々たる量の摂取を前提としている糖質を我々はあまりにも多く摂取しすぎているので、体内ではその余剰な糖質の処分に困っている状況なのです。

余剰な糖質の処分に明け暮れる中で、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が「過労死」してしまった状態、それが生活習慣病としての糖尿病(2型糖尿病)であるとも言えるでしょう(それ以外にも原因はありますが)。

「三大栄養素」の罠

人体にとって糖質がどのようなものであるかを端的に表現するなら、糖質は「おいしい毒」です。

「糖質は毒である」などと言ってしまうと一般的な価値観を持った方の多くは「そんなバカな」とお考えになると思いますし、その感覚は至極当然のものだとも思います。

何しろ我々はずっと『三大栄養素』という表現で『タンパク質』や『脂質』と共に人体にとって欠かす事のできない栄養素として『炭水化物』というものを認識してきましたから、その主要素である『糖質』が毒であるなんて想像の遥か彼方の話でしょう。

しかも事実として、人体には赤血球のように糖質に含まれているブドウ糖しかエネルギーとして使えない細胞も極一部で存在しており、その事実を持って「炭水化物(糖質)は人体にとって欠かす事の出来ない栄養素である」という主張をなさる方々も非常に多いものです。

たしかに赤血球のようにブドウ糖しかエネルギーとして使えないような細胞がある以上、人体にとってブドウ糖は欠かす事のできない物質である事は真実ですし、ブドウ糖しかエネルギーに出来ない細胞以外にもブドウ糖をエネルギーとして活用している細胞も数多くあります。

しかし実は、我々の体内にはブドウ糖を他の物質から生成する機能が予め備え付けられており、食物からブドウ糖(糖質)を摂取する必要は全くないのです。

ブドウ糖を体内で生成する機能を『糖新生』と呼びますが、人体にとって必要なブドウ糖はこの機能で十分に補えるので食物から摂取する必要がない、というよりも人体にとって本当に必要なブドウ糖は誰しもが糖新生で補われているので、食物から多量のブドウ糖を摂取したとしても、その多くは結果的に中性脂肪を増加させるために活用されるばかりで本当の意味で人体にとって有効に働くものではありません

それに比べてタンパク質や脂質には体内で合成する事のできない、食物として摂取しなければいけない栄養素が歴然と存在しており、その点で炭水化物(糖質)とは全く異なる存在である事が良く分かります。

つまり、炭水化物(糖質)をタンパク質や脂質と同等に食物から摂取するべき栄養素であるかのように表現する事自体が大きな間違いなのです。

糖質は人間の主食としては不適切

我々は主食としてお米やパン、麺類などの糖質を食べる事に慣れていますが、糖質の持つ性質(食物から摂取する必要はなく、摂取するにしても極少量が前提)を考えると『主食』として摂取する事には全く向いていないものである事が分かって頂けるでしょう。

糖質過多な食物を主食として摂取している食生活とは、「体にとって不要な食物を常に多量に摂取している食生活」と言い換える事も出来るでしょう。

実際には不要なだけではなく、多量の摂取となれば正に毒にすらなってしまうようなものなのですが。

糖質を「おいしい毒」と表現しましたが、糖質とはあくまでも趣向品であり、体を労わるために摂取するものではありません。

「糖質は美味しいけど食べ過ぎると体に毒」という事を、多くの人が正しく認識する必要があるでしょう。