タンパク質による間接的な血糖値上昇の可能性について

糖質制限をしている方であればご存知のように、PFC(タンパク質、脂質、炭水化物)のうちで食べ物として摂取した場合に血糖値を上昇させるのは、基本的には炭水化物(糖質)だけです。

とは言え「基本的に」と注釈を入れている点からも分かるように、例外的な状況というものは存在します。

実はタンパク質の摂取でも血糖値が上昇する可能性がある事をご存知でしょうか。

今回はタンパク質の摂取で血糖値が上昇する可能性がある状況について説明します。

タンパク質摂取で分泌されるもの

糖質を摂取すると血糖値の上昇を招き、その結果としてインスリンの分泌を促進させて血糖値を正常水準まで下げる一連の流れは、糖質制限を実践なさっている方にはお馴染みの事でしょう。

ですから当然の事として、インスリンを分泌させる契機として最も大きなものは糖質の摂取だと言えます。

しかし実は、糖質以外にタンパク質を摂取した時にもインスリンは分泌されているのです。

インスリンには血糖値を下げる働き以外にも、タンパク質を体内に吸収する時やタンパク質の合成などにも必要なものです。

タンパク質を摂取した時にインスリンが分泌されるのもそのためだろうと推測されています。

インスリンには血糖値を下げる働きがありますから、タンパク質を摂取すると血糖値が下がってしまうのでは?と思う所ですが、基本的にはそうはなりません。

というのも、タンパク質を摂取するとインスリンと共にグルカゴンと呼ばれる物質も同時に分泌されます。

グルカゴンにはインスリンの機能を抑制させると共に、糖新生(肝臓で糖を生み出す代謝)を促進させる事によって血糖値を上昇させる作用があります。

つまり、インスリンによる血糖値低下作用を相殺するような働きをしているのがグルカゴンなのです。

タンパク質の摂取で血糖値が上昇する可能性

糖質制限の第一人者である江部康二先生によると、以下のようなケースではタンパク質の摂取によって血糖値が上昇する可能性があるとの事です。

こんにちは。たんぱく質摂取で血糖値が上昇する場合を、考えてみました。 たんぱく質の成分のアミノ酸のなかで、リジン・ロイシ…

  • 1型糖尿病で内因性インスリンがゼロレベルの場合
  • 2型糖尿病でも、内因性インスリン分泌能がかなり不足している場合
  • 相対的にインスリン分泌量よりグルカゴン分泌量が多いタイプ

何れのケースも根本的な理由としては、本来的には血糖値の均衡状態を保てるはずの「インスリン:グルカゴン比」がグルカゴン側に傾いた結果として、余分に血糖値を上昇させてしまうというものです。

インスリンの分泌能が正常であれば保てるはずのバランスが、インスリンの分泌が不足する事でグルカゴンによる糖新生促進からの血糖値上昇が優位になってしまうというわけです。

インスリン分泌能が非常に少ない場合は、タンパク質の量にも多少注意が必要

2型糖尿病であれば、よほどインスリン分泌能が低下している状況でもなければ基本的にはそれほど意識する必要はありません。

タンパク質の摂取によって血糖値が上昇するにしても、その上昇幅は微々たるものだからです。

しかし1型糖尿病や2型でも重度のインスリン分泌能低下状態となっている場合には、タンパク質の摂取量にも多少は気を配る必要が出て来るでしょう。

その場合のPFC比率は、C(炭水化物)を少なくする事は当然として、P(タンパク質)とF(脂質)の比率に関してはFの割合を増やす事でエネルギー不足にならないように気を付けつつ、タンパク質も必要十分な量を摂取するべきでしょう。

ここで注意しなければならないのは、炭水化物と違ってタンパク質は体を構成する上で重要な栄養素ですから、減らし過ぎるのは大問題だという事です。

必須炭水化物(必須糖質)といったものは存在していませんが、タンパク質に関しては必須アミノ酸を補充するために絶対に食物から摂取しなければいけないものが少なからずあります。

炭水化物(糖質)は基本的に少なければ少ないほど良いと言えるので考え方としては簡単ですが、タンパク質に関しては十分な量を摂取する事が生命や健康の維持を考える上でも重要となってきます。