『 ロカボ糖質』や『有効糖質』の意味とは?

糖質制限を実践している人は当然、食品に含まれている糖質量を注意深く見ていると思います。

料理をする時には糖質量の多い食品は避けて献立を考えるでしょうし、出来合いのものを買うときにも可能であれば成分表示などで糖質量(炭水化物量)を確認するでしょう。

しかし実は糖質に分類されるものの中でも、避ける必要のないものも存在します。

今回は糖質の中でも避けるべきものと避ける必要のないものについて解説したいと思います。

糖質とは

糖質とは、炭水化物から食物繊維を差し引いたものです。

炭水化物の分類
©Kirin Holdings Company, Limited.

炭水化物とは、分子式で表現した場合に多くのものが炭素Cと水を構成する水素H酸素Oとで構成されている事から名付けられた名称です。

例えばブドウ糖(グルコース)の分子式は「C6H12O6」です。

同じ炭水化物でも糖質に分類されるものに関しては体に吸収されやすい性質がありますが、食物繊維は体に吸収されません。

それ故に昔の栄養学では食物繊維は人体にとって意味のない物質であると思われていた事もありましたが、実際には腸内環境を整える意味で非常に重要な役割を果たしている事が分かっています。

糖質は基本的に最も単純な形であるブドウ糖として体内に吸収され、結果として血糖値の上昇を招きます。

つまり同じ炭水化物であっても、糖質は血糖値を上昇させますが食物繊維は血糖値を上昇させないという特性も持っています。

血糖値を上昇させない糖質もある?

しかしここで問題となるのは、先ほどの図を見てみると、一般的に血糖値を上昇させない甘味料として扱われているキシリトールアセスルファムKなどの物質も糖質の一部として分類されている事です。

炭水化物であっても食物繊維は血糖値を上昇させない一方、糖質は血糖値を上昇させると説明しました。

となると、キシリトールやアセスルファムKなどの甘味料は血糖値を上昇させるのではないか?との疑念が思い浮かびます。

結論から言えば、キシリトールやアセスルファムKのような血糖値を上昇させないとされている甘味料は、糖質であっても血糖値にほとんど影響を及ぼさない性質を持っている物質なのです。

実は分類上では糖質に含まれているものの中にも食物繊維と同様に体内で吸収されない(されにくい)物質というものが存在しており、その中でも特に甘味料としての適性がある物質が砂糖に代わる人工甘味料として活用されているのです。

人工甘味料は基本的に人体にとって大きな悪影響を及ぼすものではないと認識されていますが、そんな中でも最も安全性が保障されているものとしてエリスリトールがあります。

エリスリトールはキシリトールと同様に分類上では糖アルコールの一つであり、れっきとした糖質です。

しかしこのエリスリトールは体内でほとんど吸収されないという性質を持っている事がわかっており、血糖値の上昇にほとんど関与しません。

つまり体内に吸収されてしまうとブドウ糖へ分解された後に血糖値上昇の原因となってしまう糖質ですが、体内に吸収されない(されにくい)ものに関してはその限りではないという事です。

血糖値を上昇させる糖質=ロカボ糖質・有効糖質

糖質制限を行っている場合に避けるべきなのは血糖値を上昇させる糖質ですから、血糖値を上昇させない糖質に関しては食物繊維と同様に避ける必要はないとも言えます。

ただし体に吸収されにくいという事はつまり、お腹がやや緩くなりやすい事を意味しますので、そういった意味では取り過ぎる事による不都合も少なからず存在します。

何れにしても体内に吸収されやすい糖質に関しては極力避けるべき対象なのですが、「糖質」という括りでは必ずしも避ける必要のないものまで避ける対象として認識してしまう可能性があります。

そこで使われているのが「ロカボ糖質」や「有効糖質」、あるいは「有効炭水化物」といった言葉です。

ロカボマークの付いている食品の中には、血糖値を上昇させない糖質(エリスリトールなどの甘味料)を多く含んでいるものも少なくありません。

そうした場合、糖質量だけで見ると糖質制限実践者が口にできないように見えてしまうものも多く、本来の趣旨からするとズレた認識として伝わってしまう事が懸念されます。

そこで糖質制限実践者が本来避けるべき糖質の量だけを表示する必要性が生じており、その表現として活用されているのがロカボ糖質というものです。

例えばタラミの「カロリコカロリカ」というゼロカロリーゼリーには糖質が100gあたりに8g以上も含まれています。

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たらみ
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100g当たり:熱量0kcal、たんぱく質0g、脂質0.1g、炭水化物8.1g、ナトリウム25mg、糖類0g

しかし実際の原材料を見てみると、以下のようなものが含まれています。

ナタデココ、エリスリトール、植物油脂利用食品(乳成分を含む)、寒天、ゲル化剤(増粘多糖類)、酸味料、香料、甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムK、スクラロース)、酸化防止剤(ビタミンC)、乳化剤
ナタデココは水と食物繊維が結合したものですから糖質0ですし、使われている甘味料は全て血糖値をほとんど上昇させないタイプのものです。
つまりこのゼリーは100gあたり8.2gもの糖質を含んでいながら、実はほぼ血糖値に影響を与えない食品なのです。
言い換えれば、このゼリーのロカボ糖質、有効糖質といったものは0gであるという事ですね。

ゼロカロリー=吸収されない

先ほど例にあげたゼリーのように、ゼロカロリー食品なのに糖質が少なからず含まれているという事も少なくありません。

しかし簡単に言えば、「ゼロカロリー=体に吸収されない」という事を意味します。

何しろ糖質は1gあたり4kcalのエネルギーを持っていますから、体に吸収されるタイプの糖質を含んでいるのであれば、ゼロカロリーにはならないのです。

ですから基本的にはゼロカロリー食品でありながら糖質を含んでいるようなものは、含まれている糖質がロカボ糖質ではない(吸収されないタイプの糖質)であると考えて差し支えありません。

これは商品の成分表示に関するルールの問題ですが、日本における栄養表示基準によると、100gあたりに含まれているカロリーが5kcal未満の場合は「ゼロカロリー」と表記できる事になっています。ちなみに「カロリーオフ」は100gあたり40kcal未満となっています。という事は、ゼロカロリーと表示されている食品であっても100gあたりに最大で1g強の有効糖質を含んでいる可能性はありますし、カロリーオフと表示されている食品であれば、100gあたりに最大で10gもの有効糖質を含んでいる可能性があります。ゼロカロリー表記なら誤差の範囲で済ませる事も出来ますが、カロリーオフの範疇では糖質制限実践者基準で言えば十分に高糖質な食品である可能性も潜んでいる点には注意が必要です。

今後さらに重要性が増すであろう「ロカボ糖質」や「有効糖質」

最近では世間一般における糖質への注目度が上がったことで商品の成分表記でも糖質という表記がされているものが増えました。

しかし一方でエリスリトールをはじめとした安全性の高い人工甘味料の利用も広がっているので、そういったものに関しても血糖値を上昇させないにも関わらず糖質量の上では比較的多くの糖質を含んでいるように見えてしまうという齟齬が生まれやすい状況ともなっています。

こういった状況で重要性を今後増してくると思われるのが、「ロカボ糖質」や「有効糖質」といった言葉です。

将来的にはこういった実際に体に吸収される糖質の量が、全ての加工食品で表示を義務付けられる状況になって欲しいと強く願います。

そうすれば一層糖質制限を実践する事が容易となりますし、逆に言えばそれが実現するほどに糖質制限が一般化する事を期待したい所です。