『認知症』とは?糖尿病や糖質制限との関係性について

超高齢化社会を迎えている日本において非常に大きな問題となっている認知症。

実は認知症の発症リスクと糖質の過剰摂取には密接な関係があります。

今回の記事では認知症とは具体的にどういった病気なのか、そして糖質との関係性と糖質制限による認知症の予防や治療について説明します。

認知症とは?

認知症とは、脳の機能障害によって引き起こされる不可逆的な知能低下(つまりは治らない知能低下)であり、認知障害の一つとされています。

ただしこの不可逆的という点については、必ずしも当てはまらない事が最近では分かって来ました(つまりは治る可能性がある

かつては痴呆と呼ばれていましたが、現在では用語として認知症に統一されています。

症状には個人差がありますが、以下のような症状は全ての認知症患者に共通したものとなっており、中核症状と呼ばれています。

  • 記憶障害
  • 失見当識(見当識障害)
  • 認知機能障害

物忘れがひどくなり、時間や方向感覚などが失われ、人やモノを正しく認識できなくなるような症状が一般的に見られます。

これ以外にも、個人差の大きい症状として以下のようなものがあり、これらは周辺症状と呼ばれています。

  • 幻覚
  • 妄想
  • 徘徊
  • 異食
  • 睡眠障害
  • うつ
  • 暴力
  • 暴言

こういった日常生活を送る上での障害となるような症状が往々にして見られるものですから、中核症状と合わせて非常に深刻な問題です。

原因疾患別の認知症

認知症は原因として考えられている疾患によって分類されていますが、患者数の多い代表的なものは以下の三種類となっています。

  • アルツハイマー型認知症
  • レビー小体型認知症
  • 血管性認知症

この中でも特に患者数が多いのがアルツハイマー型認知症です。

名前の通り、アルツハイマー病を原因として発症するタイプの認知症です。

アルツハイマー病とは脳が委縮していってしまう疾患の事であり、その症状として認知症が生じるのです。

アルツハイマー病は脳の糖尿病?

アルツハイマー病の原因に関しては諸説あり、はっきりとした事は解明されていません。

最も支持されている説としてアミロイドカスケード仮説というものがあり、これはアミロイドβという有毒なタンパク質が脳に蓄積する事がアルツハイマー病を発症する原因となっているというものです。

アミロイドβが蓄積する原因として、インスリンの過剰分泌やインスリン抵抗性が関連している可能性が示唆されています。

糖質制限に関わる情報発信をなさっている清水泰行先生の著書である『「糖質過剰」症候群~あらゆる病に共通する原因~』の中では以下のように解説されています。

脳 に 溜まる 有毒 な アミロイド β を 分解 する 酵素 は、 インスリン を 分解 する 酵素 でも ある。 インスリン が 多 すぎる と、 その 分解 に 精一杯 となり、 アミロイド β まで 手 が 回ら ない。 そう する と、 アミロイド β は どんどん 蓄積 する ので ある。

また、 インスリン や IGF( インスリン 様 成長 因子) は、 アミロイド β 前駆 体 タンパク質( 前駆 体 とは その 物質 が 生成 する 前 の 段階 の 物質 の こと) の 産生 や 輸送 などに 重要 な 役割 が ある と 考え られ て おり、 脳 の インスリン および IGF の 信号 の 伝達 の 障害 は、 アミロイド β 前駆 体 タンパク質 の 発現 増加 および アミロイド β の 増加 を もたらす。

(de la Monte, SM. Contributions of Brain Insulin Resistance and Deficiency in Amyloid-Related Neurodegeneration in Alzheimer’ s Disease. Drugs. 2012, Jan 1; 72 (1): 49– 66.)

この ため、 アルツハイマー 病 は「 3 型 糖尿病」 とも 言わ れ て いる。

インスリンの分泌が過剰であったり、あるいは脳内でインスリンが正しく作用しない状況が成立した場合にアミロイドβが蓄積されている可能性があり、そういったケースを想定した場合にはアルツハイマー病は「第三の糖尿病」あるいは「脳の糖尿病」とも言えそうです。

となるとアルツハイマー病(ひいてはアルツハイマー型認知症)の治療や予防としてやるべきことは、糖尿病の治療や予防と同じく「糖質の摂取を控える事でインスリンの過剰分泌を抑制する事、さらにはインスリン抵抗性を取り除く事」であると言うべきでしょう。

高糖質、高血糖な人ほど認知症リスクが高い

日本人を対象とした各種健康状態などの調査に「久山町研究」というものがあり、この研究結果では認知症に関わる内容として以下のような事が疫学的に示唆されています。

  • 糖尿病患者は認知症の発症率が高い
  • 米の摂取量が多いと認知症を発症しやすい

先ほども引用させて頂いた『「糖質過剰」症候群~あらゆる病に共通する原因~』の中で示されている久山町研究のデータによれば、食材が認知症に与える影響として負の影響が強い食材の筆頭が米となっています(他には砂糖およびお菓子、アルコール飲料)。

これはあくまでも「認知症を発症した人と発症していない人の食生活を比較した場合の差から見た危険因子」といった話であり、米が殊更認知症のリスクが高い食品であるという事を確定するものではありませんが、疫学的な視点で見た場合には「米をよく食べている人ほど認知症を発症しやすい」という事は言えるようです。

糖尿病と認知症の相関性も考慮に入れて考えた場合、「米の食べ過ぎが悪い」というよりはやはり「糖質の取り過ぎが悪い」という事であると考えた方が自然でしょう。

ですから当然、米に限らず糖質過多な食材は認知症の危険因子として認識しておく必要があると言えそうです。

糖質制限食で認知症を予防、そして改善も

認知症に陥るメカニズムが完全に解明されているわけではない以上、確実に効果があるとは断定できませんが、しかし実際問題として久山町研究の結果が示唆するように糖尿病や高糖質食と認知症には非常に強い相関性がある事は確かです。

糖尿病を予防する事が結果的には認知症を予防する事にも繋がる訳ですから、やはり糖質制限食を日々実践する事が重要となります。

さらには予防策としてだけではなく、実際に認知症を発症してしまった場合にも糖質制限食によって症状の改善、さらには認知症を逆転することすら可能となるとの事なんです。

認知症の母親を糖質制限食を取り入れる事で救ったという方が実際にいらっしゃいます。

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糖質制限の第一人者である江部康二先生も、糖質制限食による認知症の予防と治療について提案なさっていますね。

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こちらの本の中でも、認知症を発症後に糖質制限食を実践する事で見事に回復する事に成功した方の体験談が掲載されています。

糖質制限で肉体と共に脳も健康に長生き

糖質制限を実践する事で、糖尿病とそれに付随する合併症のリスクを回避する事が可能となり、その他様々な健康上のメリットを享受する事が出来る点は糖質制限を実践なさっている方ならご存知でしょう。

しかし糖質制限の恩恵はそれだけにとどまらず、肉体のみならず脳の健康にすらプラスに働いてくれる事が様々な研究で示唆されています。

肉体と共に脳も健康的に過ごす事が出来れば、これほど素晴らしい事もないでしょう。

本当の意味で心身ともに健康的な人生を歩む上では、やはり糖質制限の実践は欠かせないようです。