糖質制限食が、糖尿病をはじめとした耐糖能に問題のある方にとって最適な治療食であるだけではなく、今の所は耐糖能に問題が生じていない人々にとっても是非実践した方が良い食事習慣です。
そういった点は徐々にではありますが一般的にも広まりつつあり、もう少し時代が進めば新たな常識として定着する事でしょう。
しかしそんな中でも現状では、子供の食事に関しては話が別だという認識を持っている方が非常に多いのではないでしょうか。
大人にとって健康的な食生活と言える糖質制限食が子供にとってはどうなのか、その点について詳しく見て行きましょう。
子供に糖質制限は不要?
大人が糖質制限を実践する事に関しては肯定的な人でも、「子供が行うとなると話は別だ」といった認識を持ってらっしゃる方は非常に多いです。
そういった認識の大前提としては、「糖質制限食とは主に糖尿病の治療を目的としたもので、子供には不要なものである」といった考え方があります。
糖質制限がある程度は一般的に普及した今でも、やはり多くの人は米やパン、麺類などを食べる食事こそが「普通の食生活」であると考えているので、普通の食事を子供に食べさせるのは当然であるという事ですね。
そういった既存の観念から生まれる印象による子供の糖質制限反対意見が大前提としてあるのですが、それに加えて子供と大人では臓器の働きに違いがあるという点を強調して子供の糖質制限に反対する意見もあります。
子供は糖新生の機能が弱い?
大人が糖質制限を行ったとしても、タンパク質や脂質さえしっかりと摂取していればブドウ糖不足で低血糖になることは基本的にありません。
なぜなら人間の体には肝臓でブドウ糖を生成する機能が備わっているので、食物からブドウ糖を摂取せずとも必要十分なブドウ糖を確保できるからです。
しかし子供の場合、糖新生の機能が大人に弱いために糖質の摂取が不足すると低血糖のリスクが高まるという意見があります。
糖尿病の改善法あるいはダイエット法として、すっかり定着した感のある「糖質制限」。自身の経験から「健康的な身体になるのでは…
理由は、大人との身体の違いです。子どもの身体は臓器の成長が未発達であり、肝臓の機能も大人と同じではありません。
大人なら、肝臓で糖をつくることができます。これを「糖新生」といいますが、子どもの糖新生の力は、大人に比べて著しく弱い。
その状態で、脳や身体ではたくさんの糖質を消費しているので、簡単に低血糖になるんです。
これが本当だとすると、たしかに子供が厳格な糖質制限を行う事に対しては慎重にならざるを得ないでしょう。
子供に糖質制限を推奨している学習塾
北九州の塾講師である三島学氏は、自らの塾で子供達に糖質制限食を推奨しており、その成果を書籍として発表なさっています。
この本は糖質制限の第一人者である江部康二先生が監修なさっており、江部先生も子供への糖質制限食を推奨する立場のようです。
他にも三島学氏は以下のような書籍を出版なさっていますので、子供へ糖質制限食を推奨して得られた知見に触れる意味で、ご一読なさると宜しいかと思われます。
子供への推奨については慎重にならざるを得ないが、考慮する価値は十分にある
やはり大人として、親として、子供への糖質制限推奨というのは、大人への推奨よりも遥かに慎重にならざるを得ません。
子供達の体は発達途上ですので、大人の体と同様に考えるわけにはいきません。
リスクを指摘する意見にも一理あると思えるものがあり、子供への糖質制限については、大人のそれとは少し切り離して考える必要があるのは確かだろうと思われます。
とはいえ、では糖質過多な食生活が子供達にとって良いものであるのかと言えば、それも大いに疑問であるのも確かな所です。
特に子供の頃から肥満となっている子供というのは、その原因はほぼ確実に食生活にありますので、それ自体が子供の将来にわたる健康状態に対して大きなリスクと考えた方が良いでしょう。
糖質制限食が人間本来の食生活に近いものであると考えるなら、当然子供達にとっても体への負担が少なく、発育にとってもより良い食事である可能性が高いと言えるでしょう。
大人が自己責任で実践する分には糖質制限は非常に安全な食事法だと言えますが、子供の場合にはやや慎重に、あまり決めつける事無く、振り切った事をしない事が現状では無難であると言わざるを得ません。
つまり、糖質過多な食生活は避けつつ、かといって厳格な糖質制限に振り切る事にも慎重になるようなスタンスが求められます。
そう考えて見ると、いわゆる「ロカボ」という基準は、子供達にこそ適切な「緩い糖質制限」と言えるのではないでしょうか。
そういった見解から、当サイトとしては子供の食事については「ロカボ」基準を採用する事を現状では推奨させて頂きたいと思います。
より知見が積み重なり、子供においても糖質制限が有効であると判明すれば良し、また逆に子供については一定以上の糖質を摂取するのが望ましいと判明すればそれとして、臨機応変に、子供たちの健康と成長のためにより良い食生活を考え続けて行きましょう。