糖質制限には様々な側面、効能があります。
糖尿病治療(合併症予防)の基本的なスタンスであるべきものであり、優秀なダイエット法であり、人間の体にとって最も負担の少ない食事法です。
そのような様々なメリットの中でも、その根源的な効能とも言えるのがAGEsの蓄積を最小限に留める事です。
そのAGEsとは何か、その点について詳しく説明して行きましょう。
AGEs=終末糖化産物
AGEs(エイジス)とは『Advanced Glycation End Products』の略称であり、日本語訳では『終末糖化産物』とされています。
終末糖化産物、つまりは糖化反応(メイラード反応)によって最終的に生み出される物質という意味ですが、一言で言えば体内に「蓄積する錆(さび)」のようなものだと思ってもらえば良いでしょう。
体内のタンパク質が糖化反応を引き起こす事で生成されるものであり、『老化』の象徴的な現象と言えます。
「体が錆び付いた」なんて表現がありますが、体内ではまさにAGEsと呼ばれる錆が年齢を刻む毎に蓄積していっているのです。
糖化反応を加速させる代表的な要因は加齢ですが、もう一つ極めて重要な事が「糖質の過剰摂取」です。
体内における糖化反応とはつまり『老化』を意味します。
ということは糖化を促進させる糖質の過剰摂取は「老化を促進させている」と言い換える事もできるのです。
AGEsの種類
AGEsとは様々な化合物の総称であり、その種類は数十種類にも及びます。
以下はその一例となります。
- Nε-カルボキシメチルリシン
- Nε-カルボキシエチルリシン
- Nω-カルボキシメチルアルギニン
- アルグピリミジン
- ピラリン
- クロスリン
- GA-ピリジン
AGEsと病気
AGEsとはつまり体内のタンパク質が糖化した事で生成される物質なのですが、人間の体とは様々な部分がタンパク質で構成されています。
という事はAGEsが蓄積する事の影響も体の様々な部分に現れるという事であり、その範囲は多岐に渡ります。
- 皮膚
- 血管
- 骨
- 筋肉
- 臓器
- 脳
こういった人体を構成する基本的な要素である部分でAGEsが蓄積する事により、様々な疾患を発症させる原因となります。
動脈硬化や認知症などにも深く関係しており、あらゆる病気を引き起こす原因となっていると思われます。
AGEsと糖質制限
先ほども触れたように、AGEsの蓄積を促進する大きな要因として糖質の過剰摂取があります。
糖質の過剰摂取により活性酸素が生成され、それが巡り巡ってAGEsを体内に蓄積する事に繋がります。
裏を返せば、糖質制限をしている人は糖質過剰摂取状態の人と比べてAGEsの蓄積が少ないという事であり、即ち糖化=老化が少ない(遅い)と言えるでしょう。
糖質制限を実践するメリットは糖尿病合併症の予防や肥満防止という観点だけではなく、すべての人に関係する『老化』というものを糖質過剰摂取な食生活を送っている人に比べて随分とゆっくり受け入れる余裕が与えられる事にもあります。
それはつまり、健康寿命の延命へと繋がるものであり、老後をより良く暮らすために最も重要な事だとも言えるでしょう。
日本人の健康寿命が伸び悩んでいると言われて久しいですが、その鍵は糖質制限食が握っていると見て間違いないのではないでしょうか。
一言でまとめるとするなら、糖質制限こそが最も効果的なアンチエイジング(抗加齢)であるという事です。
健康な老後を送れるか否かは日々の積み重ね、つまりは食生活が何よりも重要です。
糖質の摂取を極力控え、体内で糖化=老化が進行する事を抑える事で、より豊かに長生きできる人生を送る事が出来る事でしょう。
是非とも現在の年齢を問わず、AGEsの蓄積を極力減らすような生き方を目指して頂ければと思います。